未経験でも整備士になれるの?
整備士は、未経験者でもなることができます。しかし、有資格者と未経験者では、担当する範囲や仕事内容が大きく異なります。ここでは、未経験者が整備士として行う仕事についてみていきます。
未経験・無資格でできる整備の仕事
自動車の整備には、資格が必要な作業と、資格がなくてもできる作業があります。多くの整備工場では、作業内容が工程ごとに分業されており、資格がない人でも対応できる仕事があるため、無資格者を対象とした求人も少なくありません。
具体的には、エンジンやブレーキ、サスペンションなどの「足回り」に関わる整備は、整備不良が重大な事故を招く恐れがあるため、国家資格を持つ整備士のみが行えると法律で定められています。これに対し、タイヤの交換やエンジンオイルの交換といった軽作業は、資格を持たない人でも問題なく対応できます。
また、鈑金塗装の分野では、傷や凹みを修理し塗装する工程が含まれますが、これには熟練した技術が求められます。ただし、未経験や無資格であっても、一から技術を学ぶことが可能です。工場内では、職人のサポートをしながら徐々にスキルを身につける仕組みが整っています。
その他、無資格者が担当する主な仕事として、資格を持つ整備士のサポート作業、使用済み部品の回収や整理、工具の清掃、工場内の掃除、洗車、コーティング、回送などがあります。
これらは整備業務を円滑に進めるために重要な役割を担っています。
無資格で整備士の仕事をする苦労
自動車整備の仕事は、整備不良が事故につながるリスクがあるため、無資格者が携われる作業は限られています。現場では、有資格者が資格を要する作業を担当し、無資格者はそれ以外の補助的な業務や雑務を主に行います。
無資格者が任される作業は、タイヤ交換やエンジンオイルの交換といった、ガソリンスタンドやカー用品店でも行われるような比較的簡単な内容に限定されます。そのため、仕事に慣れてしまうと、単調さを感じてやりがいを失うこともあります。また、工場では、幅広い工程を担当できる有資格者が優遇される傾向があり、特に自動車整備士2級以上の資格を持つ人は就職で有利とされています。
無資格者が応募できる求人は、有資格者に比べて数が少なく、さらに応募条件が緩いため競争倍率が高くなりがちです。仮に無資格のまま整備工場に就職できたとしても、多くの場合、資格の取得を求められます。有資格者はすべての作業に対応できるだけでなく、無資格者が行う作業もカバーできるため、工場側にとって有資格者を採用する方が合理的だからです。そのため、無資格者を優先的に雇用する理由は少なく、優秀な有資格者の応募があればそちらが選ばれることが多いのが現実です。
さらに、無資格者は整備できる範囲が限られるため、実際の作業を通じて整備士として必要な技術を身につける機会が限られてしまいます。その結果、スキルアップが難しくなり、キャリアの停滞につながる可能性があります。整備士として長期的かつ安定的に働きたいと考えるなら、資格の取得は不可欠です。資格を取得することで、携われる作業の幅が広がるだけでなく、職場での評価や将来的なキャリア形成にもつながります。
未経験で整備士になるときの年齢は?
未経験で整備士を目指す場合、年齢制限はあるのでしょうか。ここでは、整備士の年齢について、留意点を確認します。
基本的に年齢制限はない
整備士の仕事には年齢制限がありません。
(クルマヤドットネットでは60歳以上の整備士の再就職実績もあります。)
企業ごとに「若い人材を採用したい」といった希望がある場合もありますが、「年齢によってできない仕事がある」ということは整備士の職種では基本的にありません。
自動車整備士の資格を取得する方法の一つとして、整備士専門学校や職業訓練校に通うことが挙げられます。これらの学校への入学にも、基本的に年齢制限は設けられていません。ただし、学校やコースによっては、在籍する学生のほとんどが10代の新卒者という場合もあるため、事前に年齢層や社会人学生の在籍状況を確認しておくと安心です。
特に社会人経験者を積極的に受け入れている学校では、同じようなバックグラウンドを持つ学生が多く、年齢が気になる人でも学びやすい環境が整っています。また、自動車整備士というと「20代の男性が多い」というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、実際には平均年齢は44歳と比較的高めです。そのため、20代後半や30代から整備士を目指しても、特に年齢がネックになることはありません。さらに、女性整備士の割合も増加傾向にあり、多様な背景を持つ人々が活躍しています。
整備工場では幅広い世代が働いているため、年齢が高い人でも職場で孤立することは少ないでしょう。年齢や性別に関係なく働ける環境が整っていることも、自動車整備士という仕事の魅力の一つです。
年齢が高い場合に気にしておきたいこと
整備士として働く際に年齢制限はありませんが、年齢が高いことで考慮すべき点もあります。以下では、注意しておきたいポイントを挙げて説明します。
1. 仕事を覚えるスピード
整備士の仕事では、自動車の部品ごとに決まった整備方法を覚える必要があります。自動車のパーツは非常に多いため、若い人でも覚えるのが大変だと感じることがあります。また、近年ではコンピュータを使って診断を行う作業が一般的になり、ツールやソフトウェアの操作を習得する必要があります。特にコンピュータ操作が苦手な場合は、覚えるのに時間がかかる可能性があります。自分が新しい知識や技術をどれだけ吸収できるかを確認しておくとよいでしょう。
2. 体力への自信
整備工場での作業は、体力を要する場面が少なくありません。自動車の部品や工具の運搬には重量が伴い、作業中は長時間立ちっぱなしになることもあります。また、工場内は空調が効かないことも多く、夏場の暑さや冬場の寒さといった過酷な環境で働くことも想定されます。基礎体力がないと、長時間の作業で体調を崩してしまうリスクがあります。日ごろの健康管理や体力の維持が重要です。
3. 収入の見込み
年齢を重ねてから整備士として働き始めた場合、収入面でも現実的な計画を立てることが必要です。整備士の仕事は、成果が数字で明確に示される営業職とは異なり、チームで作業を進めるため、個人の成果が目立ちにくい職種です。そのため、昇給や昇進には時間がかかる傾向があります。また、若いころから経験を積むことで専門性を深めたり、信頼を積み重ねたりする機会が多いほど有利ですが、年齢が上がるほどその期間は短くなります。今の年齢から始めて、希望する収入を得られる可能性がどの程度あるかを見極めることが大切です。
4. 環境への適応
工場には幅広い年齢層のスタッフが働いており、40代以上でも活躍している人が多数います。ただし、若い人と一緒に働く場合、環境や作業ペースに馴染むことが重要です。自分の特性や経験を活かしつつ、周囲と良好な関係を築く柔軟性が求められます。
これらの点を踏まえ、自分の現状や将来の目標を考慮したうえで、整備士の仕事に取り組むことが大切です。必要に応じて資格取得やスキル向上に努めれば、年齢に関係なく充実したキャリアを築くことが可能です。
未経験で整備士の資格を取得する方法
未経験者の場合、整備士資格を取る道筋は2つあります。専門学校に入学する方法と、実務経験を積みながら資格取得を目指す方法です。以下では、未経験者が整備士を目指す方法を詳しく解説します。
無資格者はまず3級自動車整備士を目指そう
無資格者が自動車整備士を目指す場合、最初のステップは「3級自動車整備士」の資格取得です。この資格を取得するためには、一定の実務経験を積むことで受験資格を得る必要があります。
1. 実務経験を積む職場の選び方
実務経験を積むには、整備工場で働くことが必要です。ただし、どの整備工場でも良いわけではありません。受験資格を得るには、地方運輸局に指定された「指定工場」や「認証工場」で働く必要があります。これらの工場は、一定の設備や人員を備え、法律で定められた基準を満たしていることが条件です。就職先を選ぶ際には、工場が指定工場または認証工場であるかを事前に確認しましょう。
2. 必要な実務経験の期間
3級自動車整備士の受験資格を得るには、指定工場または認証工場で1年以上の実務経験を積むことが必要です。この期間中に、自動車整備の基本的な作業や知識を習得し、実際の現場でスキルを磨くことになります。
3. 資格試験について
実務経験を満たすと、3級整備士の資格試験を受けることができます。試験は、以下の2つのパートで構成されています。
・学科科試験:自動車の構造や整備に関する理論的な知識を問われます。
・実技試験:工具の使い方や整備作業の正確さを確認される試験です。
未経験者にとっては、特に実技試験が大きな課題になることが多いです。
4. 実技試験の対策
実技試験で求められる技能は、職場での業務を通じて習得するのが基本ですが、それだけでは不十分な場合もあります。民間の整備士研修講座や技術習得のためのセミナーを利用するのも有効な手段です。また、職場の先輩や上司にアドバイスをもらいながら練習を重ねることで、試験対策を効率的に進められるでしょう。
無資格から3級整備士を目指すには、まず適切な職場で実務経験を積み、試験に向けた準備をしっかり行うことが大切です。計画的に取り組めば、整備士としての第一歩を踏み出すことができます。
自動車整備学校に通う場合は2級
高校卒業以上の学歴がある場合、自動車整備学校に通うことで、効率的に整備士資格を取得することができます。学校では「2級整備士」の取得を目指すのが一般的です。2級整備士の資格を取得すると、自動車整備に必要な基本的な技術や知識を網羅していると認められ、卒業後の就職活動において大きなアドバンテージとなります。
1.就職サポートの充実
多くの自動車整備学校では、就職率の向上を重要視しています。そのため、学生一人ひとりに合わせた就職支援や求人紹介を行うだけでなく、職場への定着を促すためのアフターフォローも行っています。このような手厚いサポート体制があることで、未経験でも安心して整備士としてのキャリアをスタートさせることができます。
2.さらなるキャリアアップが可能
2級整備士を取得すると、将来的には1級整備士や特殊整備士の資格取得を目指すことも可能です。これらの資格を取得することで、専門性が高まり、より高い待遇や管理職への昇進といったキャリアの幅を広げることができます。特に、大型車両の整備や高度な技術が求められる分野で活躍したい場合、これらの上位資格が役立ちます。
3.短期間でプロを目指せる
整備学校に通うことで、効率的かつ体系的に整備士の知識や技術を習得できるため、最短でプロフェッショナルを目指せる点も大きな魅力です。現場で一から学ぶ場合よりも、計画的に技術を習得できる環境が整っています。
自動車整備学校に通うことで、資格取得から就職、さらにはキャリアアップまで、幅広いメリットを得ることができます。整備士として将来を見据えた一歩を踏み出すために、整備学校への入学は非常に有効な選択肢と言えるでしょう。
自動車整備士として働きながら資格を取る
自動車整備士資格を取得するには、整備学校に通う方法が一般的です。この方法では、2級整備士の資格を取得しやすく、就職面でも有利な点が魅力です。しかし、整備学校に通うには総額で250万円程度の学費が必要となるため、経済的な負担が大きい場合があります。
そのため、働きながら資格を取得するという選択肢もあります。この方法では、学費の負担を抑えつつ実務経験を積むことができるため、特に経済的理由で学校への入学が難しい人におすすめです。
1. 実務経験を積みながら資格を目指す
まずは整備士3級の取得を目指します。3級の受験資格を得るには、指定工場や認証工場で1年以上の実務経験を積む必要があります。この実務経験は、資格取得に必要な知識やスキルを学ぶ場としても活用できるため、働きながら勉強することで効率的に学習を進められるでしょう。
2. 独学で学科試験に挑戦する
実務経験を積む一方で、学科試験の準備を独学で進めることになります。試験範囲は、自動車の構造や整備に関する基本的な内容が中心です。市販のテキストや問題集を利用して勉強を進めるほか、職場での業務を通じて得た知識を活用することで、実践的な理解を深められます。
3. 実技試験対策のポイント
資格試験では実技試験も重要です。職場での業務がそのまま実技試験の練習になるケースも多いですが、必要に応じて民間の研修講座やセミナーを活用するのも有効です。職場の上司や同僚にアドバイスを求めながら練習を重ねると良いでしょう。
4.メリットと注意点
働きながら資格を取得する最大のメリットは、学費を抑えつつ実務経験を積める点です。また、実際の業務を通じて学ぶため、即戦力としてのスキルが身につきやすくなります。一方で、仕事と勉強を両立させる必要があるため、時間の使い方や計画性が重要になります。
この方法は、経済的な負担を抑えながら資格取得を目指したい方にとって現実的かつ有効な手段です。自分の生活スタイルや目標に合わせて取り組むことで、整備士としての道を切り開くことができるでしょう。
転職支援サービスを利用する
未経験者でも自動車整備士になることは可能ですが、現実的には未経験者を一から育てる意欲のある企業を見つけるのは簡単ではありません。また、応募書類や面接でアピールする経験が少なく、「前職の経験がどのように整備士の仕事に役立つのか分からない」という悩みを抱える方も多いのが現状です。
こうした課題を解決するためには、自動車業界に特化した転職サポートの利用がおすすめです。
【クルマヤドットネットで未経験者をサポート】
クルマヤドットネットは、自動車業界専門の転職エージェントです。業界に詳しい国家資格を保有するキャリアコンサルタントが、未経験者でも活躍できる求人を厳選してご案内します。さらに、以下のようなサポートが受けられます:
- 応募書類の添削:あなたの強みを整理し、効果的にアピールする方法をアドバイスします。
- 面接対策:模擬面接を通じて、自信を持って選考に臨めるようサポートします。
- キャリアの棚卸し:前職での経験を整備士の仕事にどう活かせるかを一緒に考え、アピールポイントを見つけます。
自動車整備士を目指す第一歩として、自分一人で悩まず、専門家の力を借りてみてはいかがでしょうか?クルマヤドットネットのサポートを活用すれば、未経験からでも整備士としてのキャリアを築く自信が得られるでしょう。
まとめ
未経験者でも、働きながら資格取得を目指すことで、プロの整備士になれることが分かりました。整備士資格を取得しようという意欲があれば年齢も関係ありません。
整備士の仕事は、年齢や経験を問わず、広く門戸が開かれています。未経験者でも、熱意と意欲があれば挑戦できる仕事です。
「挑戦したい!」と思ったそのタイミングで、行動されてみてはいかがでしょうか。
無資格・未経験で応募可能な整備士求人
【自動車整備士】正社員 菊水店 (北海道)
「自動車整備士」無資格・未経験可 7時間勤務 工場見学可 (埼玉県)
「自動車整備士」ロードサービスも行っている整備工場にて自動車整備 (東京都)
無資格未経験から挑戦する自動車整備士!年間休日115日以上! (神奈川県)
「未経験歓迎の自動車整備士」軽自動車からトラックまで対応します (愛知県)
【自動車整備士】幅広い車種を取り扱う自動車整備工場 (大阪府)