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外国人でも整備士として働ける?
厚生労働省が公表した「日本で働く外国人労働者の数」は、2018年10月末現在で約146万人となっています。この数字は、2007年に外国人雇用状況の届出制度が義務付けられてから、過去最高の人数を記録しました。
日本は少子高齢化社会に突入し、企業は人手不足に悩んでいます。日本で働く外国人労働者の数はこれからますます増加することが予想されます。
外国人でも日本で整備士として働くことは可能!
外国人であっても、日本で整備士として働くことは可能です。そのためには、まず日本で活動する内容に沿った、在留資格を入国管理局へ申請して許可を得なければいけません。
自動車整備士は、「技術・人文知識・国際業務」という在留資格に該当します。以前は、「技術」と「人文知識・国際業務」の2つの在留資格に分かれていましたが、現在は1つにまとめられた在留資格になっています。
ちなみに、「技術」のカテゴリーに該当する職種としては、自動車整備士の他に、システムエンジニア、プログラマー、設計、技術開発等の専門技術を必要とするものとなります。
しかし、この在留資格を取得するためには、様々な要件を満たさなければなりません。「高い専門技術を持った外国人なら誰もが簡単に在留資格を取得できるのか?」というと、残念なことに、そうではないのが現状です。
一例として、整備士の在留資格を取得したいのであれば下記の条件を満たす必要があります。
- 自動車整備の専門学校を卒業していること
- 自動車整備士資格を取得していること
それ以外にも、下記のような学歴や職歴が、在留資格を取得するための条件を満たす要素となります。
- 大学で自動車整備に関連する分野を学んだ
- 10年以上の実務経験がある
実務経験の証明に関しては、現地で働いていた会社から、働いていたことを証明する「退職証明書」や「在職証明書」を発行してもらう必要があります。万が一、働いていた会社が倒産していたら、証明書を発行してもらうことができないのでお気をつけください。
そして、在留資格を申請の際には、日本の企業との雇用契約書を提出しなければなりません。在留資格を取得する前に、まず就職先を探す必要があります。せっかく就職先が見つかっても、在留資格を取得していなかったため、帰国しなければならなくなった外国人の方も多くいますので、こちらも気をつけておきましょう。
外国人技能実習制度とは?
外国人技能実習制度は、日本が先進国としての役割を果たすため、開発発展途上国の若者たちに日本の技術や知識を働きながら習得してもらう制度です。最終的には技術を持ち帰ってもらい、母国で役立ててもらうのが目的となります。
もちろん外国人技能実習制度には、「自動車整備」についての項目もあります。
2016年4月1日、外国人技能実習制度に「自動車整備職種(自動車整備作業)」が追加されました。
これによって、外国人技能実習生が自動車整備の実習生として日本で働くことが可能となりました。主にはベトナムやフィリピン、カンボジアなどから20代の若い人材を中心に、多くの外国人が日本の自動車整備企業で技術を学びながら働いています。
技能実習制度は、技能実習1号(1年)、技能実習2号(2年)、技能実習3号(2年)となっており、実習生は最大で5年間日本に滞在することができます。
補足 外国人技能実習制度は、あくまでも開発発展途上国への技術や知識の支援であり、技能実習生を受け入れる日本企業側は、「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」という規定があります。 実習生側がこの規定についてよく理解しておくことは非常に大切です。一部の悪質な企業から不当な扱いを受けないためにも、制度の内容についてよく知っておきましょう。 |
日本で外国人が整備士として働くための条件
外国人技能実習制度を利用して、沢山の外国人実習生が整備士を目指して働いていますが、外国人が整備士として日本で働くために必要な条件には、具体的にどういったものがあるのでしょうか。
自動車整備士の資格が必要
自動車整備工場やガソリンスタンドが行っている、タイヤ交換やエンジンオイル交換などの業務は、資格がなくても行える作業になります。しかし、それ以外の点検整備などは、国家資格である「自動車整備士」の資格が必要になります。自動車整備士の資格には、3級、2級、1級、特殊整備士、自動車検査員などがあります。自動車整備士として働くためには、まずは「3級自動車整備士」の資格取得を目指しましょう。
3級自動車整備士の資格を取得するためには、実務経験が1年以上必要になります。3級整備士試験には、学科試験と実技試験があります。学科試験の問題は日本語で記述されているため、ある程度の日本語を理解する能力が必要です。
日本語能力が必要
3級整備士試験の学科試験を受けるために、ある程度の日本語を理解する能力が必要になります。業務中や日常生活中では、ほとんどが日本語でのやり取りになるため、日本語能力のスキルアップは必須です。
特に、1級の自動車整備士資格を取得する場合は、口述(口頭で問題を出し、口頭で答えさせる)の試験もあるため、さらに高度な日本語理解が必要になります。わからないことは何でも周りの日本人に聞いて、どんどん日本語能力を高めていきましょう。
より高いレベルの勉強を行いたいのであれば、「実践的な日本語を学びながら整備士を目指せる専門学校」を利用するのも方法です。
こういった専門学校であれば、自動車整備の技術や知識と並行して、学科試験や就職の際に必要不可欠な日本語能力を学ぶことができます。就職に関するサポート体制も充実しているということもあり、多くの留学生が専門学校に通っています。
専門学校のコースはさまざまあり、取得したい資格に合わせたコースを選択します。現在は、2、3年間で2級自動車整備士の資格を取得できる、実践的なコースが人気のようです。
日本で整備士の仕事を探すなら
日本で整備士の仕事を探すためにはどのような方法があるのでしょうか?
ここでは、外国人が日本で仕事を探す方法をいくつかご紹介します。
車求人に特化したクルマヤドットネット
日本の就労資格がある外国人であれば、日本人が就職先を探す際によく利用する「ハローワーク」という行政機関を利用することができます。
また、外国人の就職に特化したサービス体制をとっている公的機関、「外国人雇用サービスセンター」も仕事探しに利用できます。
その他にも、インターネットの求人サイトを利用すれば、好きな時間にいつでも自分に合った求人を探すことができます。
なかでもクルマヤドットネットは、自動車関連のお仕事に特化した求人サイトです。キーワード検索ができるので、「外国人歓迎」といった、外国人に限定した効率よい探し方を行うことができます。
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外国人の需要は高まっている
少子高齢化に伴い、多くの日本企業は人手不足に悩んでいます。
なかでも自動車業界の人手不足は深刻です。近年、若者の車離れと職業選択の多様化により、自動車整備士そのものを目指す人口が年々減少しているのです。加えて高齢整備士の引退が増えていることも、整備士全体の減少に拍車をかけています。
しかし日本企業にとっては深刻な人手不足であっても、日本で働きたい外国人にとってはチャンスの多い状況としてポジティブにとらえることができます。
近年行われた外国人労働者に関する制度改正 2019年4月に、改正入管法が施工され、新たな在留資格としての「特定技能1号」による外国人受け入れが始まりました。 この制度は、生産性の向上や、国内の人材を確保するために様々な取り組みを行っても人材を確保することが難しい業種に対して、一定の技能を持った外国人を受け入れる制度であり、自動車整備分野もこの制度に指定されました。 つまり、2018年4月に始まった「技能実習」と合わせて「特定技能」という在留資格が増えたことになります。特定技能の在留資格は5年間で、技能実習からの移行も可能です。特定技能の自動車整備分野で受け入れる外国人の人数は、2019年から5年間で7,000人を想定しています。 特定技能の在留資格を取得するためには、「自動車整備分野特定技能評価試験」又は、「自動車整備技能検定試験3級」に合格する必要があります。そして、日本語の試験として、「国際交流基金日本語基礎テスト」又は「日本語能力試験(N4以上)」にも合格する必要があります。 技能実習から移行する場合は、「第2号技能実習(自動車整備職種に限る)」を終了することによって特定技能への移行が可能になります。技能試験や日本語の試験は免除されます。 |
まとめ
これからますます日本は人材不足の問題が深刻化し、外国人労働者の需要が増えることが予想されています。
この機会に自動車整備士の資格を取得し、日本で自動車整備士として働こうと考えている外国人の方は、この記事をぜひ参考にしてください。
在留資格や整備士の資格、外国人技能実習制度などについて理解を深めておき、理想的な就労体験を目指していきましょう。