自動車整備士が求める作業環境とは?(クルマヤドットネット独自調査)

自動車整備には、効率的で安全な作業環境が必要です。理想的には、清潔で整理された作業スペース、快適な温度・照明、充実した工具や機器が整備されていることが望ましいです。また、労働時間や休憩の取りやすさ、体への負担を軽減するための設備(例えば耐疲労マットやリラックスできる休憩室)が必要です。しかし、現状では、古い設備や不十分な作業スペースが多く、過重労働や安全対策の不足が課題となっている場合もあります。整備士の皆さんが求めている環境についてクルマヤドットネットは独自調査を行いました。

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自動車整備士が快適に働くためには何が必要でしょうか?
日々、自動車整備士のキャリアカウンセリングを行っているなかで、自動車整備士が感じていることや理想とする職場環境などを独自調査してみました。
様々な意見を頂きましたが、「効率性・快適さ・安全性」に関係する内容が非常に多くて出てきましたので、この3つのキーワードに絞って解説していきます。

【効率性】
自動車整備士が思う効率性とは?

自動車整備士にとっての効率性とは、スムーズに作業できる環境とシステムが整っていることでした。工具や設備の充実だけでなく、作業の流れやIT活用、チームワークも大切に考えている方が多かったです。

1. 作業環境の整備

  1. 整理整頓された工具・部品の配置(探す時間を削減)
     ツールワゴン・ツールボックス:工具の整理、作業中の取り出しをスムーズにする
     パーツ棚・部品管理システム:部品を探す手間を省き、作業の流れをスムーズにする
     油圧式オイルチェンジャー:オイル交換時の排出を簡単に行い、作業を効率化
     
  2. リフトや電動工具の充実(作業の手間や負担を軽減)
     リフト:腰への負担を軽減(2柱リフト・4柱リフト・シザーリフト)
     電動工具・エアツール:手動作業よりも素早く確実にボルトやナットを脱着できる
      (インパクトレンチ、エアラチェットなど)
     コードレス工具:作業の自由度が上がり、配線の取り回しを気にせず作業可能
      (電動ドライバー、電動ラチェットなど)
  3. 十分な作業スペースの確保(動きやすく安全な環境)
     隣の車両と十分な距離を確保し、ドアの開閉や移動がスムーズにできる
     車両の周囲360度に作業スペースがあり、無理な姿勢を取らずに整備できる
     同時作業時にほかの整備士と動線が重ならないよう、十分なスペースを確保
     廃油や廃液の処理エリアが明確に分かれており、作業スペースに流れ込まない
  4. フルオートな設備(タイヤチェンジャー・洗車機等)
    必ずしも自動車整備士が行う必要が無い作業等については、自動化設備が好まれます。
    ■フルオートタイヤチェンジャー
    ■オート洗車機
    ■アラメントテスター
    ■超音波式ホイール洗浄機

2.作業プロセスの改善

  1. 作業手順の標準化(ミスを減らし、作業時間を短縮)
     点検・整備のチェックリストを導入して作業の流れを統一化する
     整備の基本手順を統一する
     (例:タイヤ交換→ブレーキ点検→エンジンオイル交換の順など)
  2. 整備マニュアルやデジタル診断機の活用(トラブルシューティングの迅速化)
     トルク管理や締め付け順序をマニュアル化し、部品の締めすぎ・緩みを防止
     電子カルテを活用し、過去の整備履歴を素早く確認
     診断機器の使い方を統一し、エラーの解釈や対処方法を全員で共有
  3. チームワークの向上(スムーズな連携で作業時間短縮)
     役割分担を明確にすることで、無駄な動きを減らせる
     (例:一人がオイル交換中に、もう一人がタイヤチェックをする)
     情報共有を徹底し、作業の重複や手戻りを防ぐ
     お互いにフォローし合うことで、精神的な負担を軽減し、働きやすい環境を作る
     チームワークが良い職場は、スタッフの定着率も高くなりやすい

3.ITやデジタルツールの活用

  1. 電子カルテ・作業履歴管理(車両の過去データを素早く確認)
     車両の過去の整備履歴を見ることで、再整備や手戻りのリスクが減る
     整備内容や部品の交換状況を全員で共有できるため、作業の一貫性が保たれる
  2. クラウド管理システムで部品の在庫管理(必要な部品をすぐ手配)
     在庫状況をリアルタイムで把握できるため、部品の不足や過剰在庫を防ぐことができる
     他の整備士と在庫情報が共有されるため、重複注文や無駄な購入を避けられる
     外部サプライヤーと直接連携し、部品の発注から納品までの時間を短縮できる
     交換時期を過ぎた部品や故障部品が記録されており、再利用を防止できる
  3. 最新の診断機を活用したトラブル解析(的確な整備で手戻りを防ぐ)
     エラーメッセージやコードを直接読み取ることができ
     症状に対してどの部品やシステムが不具合を起こしているのかを即座に特定できる
     手動での診断よりも時間を短縮し、正確な場所を素早く発見できる
     無駄な試行錯誤を減らし、診断と修理のスピードが向上
     リアルタイムで車両のデータをモニタリングでき、細かな問題も見逃さずに検出できる
      (例:エンジン回転数、温度、センサー情報など)

【快適さ】
自動車整備士が考える快適さとは?

自動車整備士が求める作業環境は、「快適さ」が重要です。エアコンや換気設備が整い、夏冬でも快適に作業できる環境が望まれます。安全対策がしっかりしており、休憩スペースや防護具が完備されている職場は、長く働きやすい環境といえます。

1.作業環境を快適にする設備

  1. エアコン・換気設備:温度や湿度を適切に管理し、暑さや寒さによる体力消耗を防ぐ
     エアコンは自動車整備士の作業効率に大きな影響を与えます
     また、以下のような点で、エアコンの有無や性能が作業環境に影響を及ぼします
     ・作業環境の快適さ向上
     ・作業ミスの軽減
     ・電子機器や精密機器の扱いやすさ
     ・作業着の快適性
     
  2. LED照明:明るく影ができにくい照明を使用することで、細かい作業の視認性を向上
     高い光出力を持ち、均一に広がる光で暗い場所やエンジンルーム内でも視認性が向上
     ちらつきやグレアが少なく、目を保護するため、特に暗い場所での作業時に有効
     熱の発生が少ないので、作業環境が暑くなりすぎることもなく快適
     
  3. 作業用マット・耐疲労マット:長時間の立ち仕事による足腰の負担を軽減
    長時間の立ち作業やハードな整備作業を行う際に、疲労を減らし、健康面にも良い影響を与える効果があります
     耐疲労マットは足元の圧力を分散し、長時間立ち続けても足や腰へのストレスを減少
     振動の吸収性が高く、床の硬さを緩和することで、特に足の裏の痛みを軽減する

2.休憩室・リラクゼーションスペース

疲れを癒す場所リフレッシュできる設備は、仕事のパフォーマンスや職場環境の向上に貢献します。

  1. 心と体のリフレッシュ
    整備士は長時間立ちっぱなしで重い部品を扱うなど、肉体的に負担が大きいため、休憩室やリラクゼーション設備が提供されることで、適切に休息を取ることができ、体の疲れを癒し、精神的にもリフレッシュできます
    また、お昼休みに仮眠をとる整備士も多いため、仮眠スペースは非常に喜ばれます。
  2. リラクゼーション設備:筋肉の疲れやストレスを軽減し、次の作業に集中できる状態を作りやすくなります(例:マッサージチェアや休息スペース)
  3. 健康の維持:心身の健康維持に役立つため、整備士が疲れやストレスを溜めずに働けるようになります
  4. チームワークの向上:休憩室は、整備士同士がリラックスした環境でコミュニケーションを取る場所としても重要です
  5. 休憩を共にすることで、チームワークや職場の一体感が強化され、より協力して仕事に取り組む意欲が高まります

3.快適な福利厚生

  1. 制服のクリーニング:自宅でつなぎを選択する必要がなくなる
     自動車整備士にとって非常に大きな利点があります
     汚れた作業服を着ていると、臭いや不快感が生じ、仕事への集中を妨げます
     作業服が常に清潔だと、モチベーションや仕事の意欲が向上します
     汚れや油が落ちやすくなり、作業服の寿命を延ばすことができます
    会社の配慮を感じることで、従業員がより長く働きやすく、仕事に対する満足度や忠誠心も高まります
  2. 健康管理支援
     フィットネス補助スポーツジムの利用補助
     
  3. 柔軟な勤務時間と休暇制度 
     年間休日:110日~120日の会社が増えてきています。 
     残業:整備士人数を増やすことで一人一人の負担を減り、離職率にも影響を与えます
     シフト制・フレックスタイム制:ライフステージに合った働き方が重視されます。
  4. 作業用具や設備の提供:工具の購入補助や会社支給は大変喜ばれます
  5. 社員割引制度福利厚生施設の利用
     プライベートにも役立つ支援が提供により、日常生活の満足度が向上します。
     家族への福利厚生があることで、家庭との両立もしやすくなる
     (例:家族手当、育児支援など)

【安全性】
自動車整備士の考える安全性とは?

作業環境作業内容において常に優先されるべき要素であり、事故や怪我を防ぐために非常に重要です。整備士は日々車両を整備・修理する中で、機械的なリスクや危険を避けるためにさまざまな対策を講じる必要があります

1.作業環境の安全性


  1. 清潔な職場:作業場が散乱していたり、工具が適切に収納されていない環境は危険です、転倒や事故のリスクが高まります。整理整頓が行き届いている作業場では、必要な工具をすぐに取り出せ、無駄な動きや不意の事故を防げます
  2. 適切な照明:作業を行う場所に十分な照明があることで、細かい作業や危険な作業でも視認性を確保でき、目の疲れや視力低下を防ぐことができます

2.防護具など

  1. 作業服・手袋:耐久性があり、機械的な負荷や化学物質から手を守る作業服や手袋を着用することが重要です。これにより、物理的な怪我やケガを防げます
    前述しましたが、作業着(つなぎなど)は会社負担でクリーニングが望まれます
  2. 安全靴:つま先保護のある安全靴が必要
  3. 保護メガネやマスク、耳栓:油や化学物質、または切削作業中に飛散する金属の削りかすなどから目や呼吸器を守るため、保護メガネやマスク、耳栓の着用も大切

3.機械や工具の安全操作

  1. 定期点検、メンテナンス
    劣化した機器や破損した工具を使うことは、大きな事故を招く原因となります
  2. 正しい使用方法の遵守:作業中に使用するツールや機械の取扱説明書を守り、誤った使い方をしないようにすることは安全性を保つための基本です

4.車両の安全管理

  1. ジャッキアップとリフト作業の安全:誤った方法で車両を持ち上げると、車両の転倒や作業者への圧迫を招く危険
  2. ブレーキの取り外し時の注意:車両のブレーキ部品を取り外す際には、ブレーキ液やエアの漏れに注意し、火花や熱源を避ける必要があります

5.緊急時の対応

  1. 緊急停止の手順:作業中に異常が発生した場合に迅速に機械の停止方法緊急連絡手段を把握しておくことが重要です
  2. 安全訓練など:作業場内の避難経路消火器の設置場所を把握し、緊急時に冷静に対応できる準備を整えておくことも、安全性の一環です

6.安全への啓蒙活動

  1. 従業員研修:新入社員や経験の浅い整備士に対して、安全作業のための教育定期的な安全研修が行われることは、安全性を高めるために重要です
  2. 安全意識:整備士同士で安全への意識を高め、協力し合う文化を作ることも、事故や怪我を未然に防ぐための大切な要素です

まとめ

自動車整備士が求める作業環境は、快適さ・安全性・効率性が重要です。エアコンや換気設備が整い、夏冬でも快適に作業できる環境が望まれます。リフトや電動工具の充実により、作業負担が軽減され、効率的な整備が可能になります。また、整理整頓されたツールワゴンや部品管理システムがあると、無駄な時間を削減できます。さらに、安全対策がしっかりしており、休憩スペースや防護具が完備されている職場は、長く働きやすい環境といえるでしょう。

「自動車整備士が求める作業環境」をお読み頂きありがとうございました。また、クルマヤドットネットの質問にご協力頂いた自動車整備士の皆様ありがとうございました。
クルマヤドットネットの独自調査のため、このマガジンを読んで頂いた方の中には「そこは重要じゃないよね」「違うよね」と感じる方もいらっしゃると思いますが、クルマヤドットネットでは自動車整備士の皆様が快適に働くことが出来る職場のご案内を目指しております。
今回の調査結果を100%満たしている転職先はなかなか少ないとは思いますが、少しでも皆様の理想に近い求人のご案内を心掛けてまいります。

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