整備士の給料はどのくらい?給料を上げるためには!

整備士は、自動車整備に関する専門的な技能を証明する国家資格であるにも関わらず、給料が多いとはいえない職種のひとつとしてあがっています。給料が上がりにくい理由はさまざまあります。個人の能力の問題や、企業側の問題。 ここでは、「整備士の給料はどのくらいか」また「給料を上げるためにはどうすればよいか」具体的な方法を紹介します。

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整備士の給料はどのくらい?

整備士の人の中には、自分がもらっている給料が多いのか少ないのか気になる人もいるのではないでしょうか。そこで、整備士の平均給与や手当について解説します。

平均で約29万円

整備士の平均年収は約427万円、月給は約29万円です。この額は総支給額のため、実際の手取りはこれよりも少なくなります。総支給額より社会保険や健康保険などを引いた手取り額の平均は、月給約23万円、年収約340万円程度になります。

整備士の平均初任給は、専門学校卒で約17万円です。大学卒の場合は、約19万円となっており、年収は約200万円からスタートします。平均年収に比べるとかなり低く感じますが、これは45~49歳の平均年収約515万円が平均を引き上げているためです。

この金額はあくまで平均値なので、企業によっても収入は変わります。大手自動車ディーラーは給与が高くなる傾向にあります。

特別手当が多い会社がある

特別な専門的知識が必要な自動車整備の仕事では、特別手当を支給する企業は少なくありません。手当には、次のようなものがあります。

・資格手当

国家資格・自動車整備士は、各等級に応じて資格手当が設定されていることが多いです。3級であれば数千円~、1級や2級であれば1万円程度が相場です。

それほど高額とはいえませんが、等級によってもらえる手当の額が違うため、年収には差が出ます。収入を少しでも上げようと思ったら、より上位の資格を取ることが確実です。

・工具手当や作業着洗濯手当

職場によっては、工具手当や作業着の洗濯手当などが支給されることがあります。自動車整備の現場では、さまざまな工具を用いて作業します。工具を自弁するケースもあり、そのような職場では手当が支給されます。

また、作業着には自動車の汚れやオイルの汚れが付着するため、洗濯の費用が嵩みます。そこで、洗濯手当を別途支給する職場もあります。

なぜ給料が上がらないのか?

職場によっては、長年勤めても給料がほとんど上がらないことも珍しくありません。ここでは、整備士の給料が上がらない理由を解説します。

給料が上がらない理由

給料が上がらない理由には、以下のようなものがあります。

・一度上げた給料は下げにくい

企業には「一度給料を上げてしまうと、不況等で利益が減ってしまっても下げられない」という事情があります。

なぜなら、人は給料が上がらないことにはある程度我慢ができますが、下がることには強い抵抗感を感じるからです。

給料を下げることには、労働者の意欲の低下と、それに伴う生産性低下のリスクがあります。人手不足が深刻な整備士業界では、万が一労働者の大量退職を出してしまうと「人手不足倒産」の危険性もはらんでいます。

企業は、労働者のこのような心理を理解しているため、給料を上げることには慎重なのです。

・人事評価制度がない

会社に明確な人事評価制度がないと、何を基準に給料を上げてよいかが曖昧なため、従業員の給料が上がりにくくなります。

それに対して、人事評価制度が明確な企業では、結果を出した従業員の努力には報いる義務が発生します。そのため、給料をなるべく上げたくない企業は、現状維持を優先し、あえて明確な評価制度を用意していないことがあります。

・設備投資をしていない

コストを削減する効果的な方法の一つが、最新の設備を導入し業務効率を改善することです。ただし、膨大な初期費用がかかるため、利益の少ない企業は及び腰になってしまいます。そのこと以前に、「出費は極力避けたい」と設備投資に消極的なケースさえあります。

業務の改善に消極的な企業は、業務効率が上がらないため、従業員への投資にも消極的です。そのため、給料はほとんど上がりません。

自分にも問題がある可能性も・・・

給料が上がらない理由が、労働者個人にある場合もあります。たとえば、以下のようなケースです。

・給料分しか働かない

労働者が最低限の仕事しかしようとしない場合、上層部はその人を高く評価する理由がないため、給料は上がりません。たとえ人より能力があっても、それを発揮しなければ評価に繋がることはないのです。

・スキル不足

人より意欲や熱意があっても、成果が出せなければ給料は上がりません。企業は利益が出てはじめて従業員に還元できます。会社が努力に報いたくても、結果が出せないようでは、昇給の原資を確保することができないのです。

・不満があっても相談しない

会社はよほどのことが無い限り、給料を上げることには消極的です。そのため、ときには、会社に交渉を持ち掛け、給与を上げてもらうよう働きかけることも必要です。

また、従業員からとくに要望や不満が聞かれない場合、会社は従業員が今の待遇に満足していると判断する場合もあります。希望や改善してほしい点は言葉にして伝えないと、伝わらないことが多いものです。自分の意思を積極的に発信することも重要なスキルです。

整備士の給料を上げるためには?

整備士の仕事を続けたいけど、給料に不満がある。そのような場合、給料を上げる方法を実践することをおすすめします。以下では、具体的に整備士が給料を上げる方法を紹介します。

役職や管理職を目指す

出世することは、収入を上げる最も確実な方法の一つです。整備士の場合、まずは点検部門や整備部門のリーダー職を目指します。また、経験を積み、知識や技術を深めていくと、お客様に対応するフロント業務を任されることもあります。

さらに経験を積むことで、工場長やマネージャーなどのマネジメント職を目指すことができます。管理職として任命されると、管理職手当がつきます。

また、カーディーラーの整備職では、営業部門に転身し、セールスエンジニアを目指す道もあります。営業職として経験を積み、営業部門のマネージャーになることで、大幅な年収増加も期待できます。

しかし、一般的に、整備士の出世は短期間で叶うものではありません。時間をかけて、じっくりと信頼を積み重ねることが必要です。なぜなら、多くの場合、出世はより大きなプロジェクトを任されることを意味するからです。

人を動かし、大きな仕事を達成するためには、上層部や部下、顧客からの信頼が必要不可欠です。そのため、出世を望むなら、日頃から信頼を得る行動を心がけましょう。

また、出世するためには、実力を示すことも重要です。なぜなら、実力の伴わない人には、部下はついていこうと思わないからです。上層部も、実力のない者に大事なプロジェクトを任せることはできません。

人の上に立つにふさわしい人物と認められるためには、誰もが納得する実績を出すことが必要です。

国家資格を取得

より上位の国家資格を取得することで、資格手当が支給されます。資格手当支給の要件となる資格には、以下のようなものがあります。

・1級自動車整備士:高度な自動車整備技術に加え、安全管理や他の整備士の指導を行う能力があることの証明にもなります。あらゆる車種の、あらゆるパーツを整備できます。

・2級自動車整備士:一般的な自動車整備ができます。整備工場では、2級以上の整備能力が求められることから、プロとしての技能を保証する資格です。

・3級自動車整備士:基本的な自動車整備技能を持つことの証明する資格です。

・特殊整備士:電気装置やボディフレーム、タイヤの専門的な整備知識を持つことを証明する資格です。

資格手当は、数千円~1万円程度が相場です。無資格の人は、まずは実務経験を積み、3級整備士取得を目指すことになります。

上級の資格を取ることで、今までできなかった仕事に関わることができる可能性もあります。たとえば、1級整備士は、他の整備士へのアドバイザー能力がある証明にもなるため、リーダー職に抜擢されることがあります。

新しいポジションを任せられると、さらに給料が上がる可能性も出てきます。

独立する

整備士として長年勤めても、企業に雇用されていると昇給には限界があります。そのため、独立開業してさらなる収入増を狙います。整備士の独立は、自動車整備工場を開業することです。

独立のメリットは、努力次第で収入を大幅に増やせることです。利益から必要な経費を引いた残りはすべて自分の報酬になるため、働くモチベーションも高く保てます。

ただし、自動車整備工場は一人では経営できません。有資格者が2人は必要なので、人を雇うか、共同経営する仲間を募る必要があります。

仕事を取るための営業や、人脈作りは欠かせません。ビジネスを成功させるためには多くの困難がありますが、成功すれば高収入を得られるチャンスです。整備士としての腕に自信がある人や、人脈を豊富に持っている人は独立を目指すのも一つの道です。

思い切って転職する

整備士の給料は、職場や企業によっても大きな差があります。一般的には、町の工場よりも大手ディーラーの方が給与は高いです。また、会社によっては、手厚い手当を用意しているところもあります。

そこで、転職をして職場を変えることで、給料アップを狙います。また、前職での経験をアピールすることで、より高い待遇やポジションで就職するステップアップ転職も可能です。

とくに狙い目は、給料や昇給額が高い大手企業です。

しかし、職場探しは給料だけを見ていたのでは、失敗する可能性は低くありません。なぜなら、求人の給与欄だけでは、職場の雰囲気や詳しいキャリアパスを知ることが難しいからです。

「いざ転職してみたら、思っていた職場とは違った」ということにならないために、内部事情に詳しい転職のプロからサポートを受けることをおすすめします。

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まとめ

整備士の給料を上げたい場合は、資格取得や出世で待遇を上げるか、転職や独立で収入を上げていく環境を追い求める必要があります。

整備士資格には階級があるため、目安にしやすい職種のひとつではあります。どこまで給料を上げたいか、また、自身がどこまで行動できるかで、条件は変わってきます。

整備士は技術職であるため、頑張り次第では長期的に活躍することができます。将来設計を描きつつ、自身にあった最適な方法を選びましょう。