自動車整備士が不足している原因は?就業・転職のポイントも解説

どの業種や職種でも人手不足が問題になっていますが、自動車整備士も例外ではありません。人手不足になるのは、自動車整備士ならではの実情もあります。この状況をどのように就職や転職に活かせばいいのでしょうか。

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自動車整備士が不足しているってホント?

まずは自動車整備士がどれくらい不足しているのかを紹介します。

自動車整備士は毎年減少している!

JASPA(日本自動車整備振興会連合会)が毎年実施している「自動車分解整備業実態調査」によると、平成30年度の整備士の数は338,438人でした。平成25年度の同じ調査では343,210人だったので約5,000人、減少しています。

さらに平均年齢に着目すると、平成25年度は43.5歳だったのが、平成30年度は45.3歳になっています。つまり、若い整備士が増えていない状況で引退などの理由から整備士の数が自然に減り、高齢化が進んでいるようです

そもそも社会全体が人手不足となっており、整備士も同様に人手不足に悩まされています。

約半数の工場で整備士不足が深刻

一方、整備工場の数は平成25年度が91,933で、平成30年度は91,883とほとんど変わっていません。それなのに整備士の数は減っているのですから、多くの整備工場が整備士不足になっていることが推測できます

また、日本自動車整備振興会連合会の「自動車整備白書 平成26年度版」によれば、日本の整備工場の約50%で整備士不足が深刻化しており、その内10%では整備工場の運営に支障が出るほどだといわれています。

1人が辞めてしまうと補充するのは容易ではありませんし、同等のスキルを持っている整備士が入ってくれる保障もありません。立て続けに数人が辞めるとなれば、経営に支障が出てしまいます 。

自動車整備士は、車を整備・点検し、故障を修理するのが主な仕事であり、車を安全に走らせる上で欠かせない存在です。自動車の技術革新も進んでいるため、とくにハイブリッド車や電気自動車に対応できる整備士の養成は急務といえます。このまま整備士が不足する状態が続けば、数年後には社会全体の安全が脅かされる事態になるかもしれません。

自動車整備士が不足している原因

では、なぜ自動車整備士が不足するのか、原因を見てみましょう。

若者の車離れや少子化

先ほどの「自動車分解整備業実態調査」のとおり、自動車整備士の平均年齢は上昇しており、若者のなり手が少ないのがうかがえます。全国自動車大学校・整備専門学校協会(JAMCA)によると、平成15年から平成24年の10年間の間に、自動車整備に関する学校に入学する人数が、半分以下に減少している状態です。

近年は人手不足により、若者は自由に職業を選べます。その選択肢の中に整備士が入ってこなくなっているようです。

また、以前と比べて車に興味を持つ若者も減っています。俗にいう、若者の車離れです。高度成長期からバブルが崩壊するあたりまでは、車を持つことがステータスでした。若者はスポーツタイプの車に夢中になり、自分好みに改造しては走らせていたものです。お金を持っていなくてもアルバイトをするなどして、給料の大半をつぎ込んでいました。車好きが転じて整備士になった若者も少なくありません。

ところがバブルが崩壊してからは、初期費用が高く、購入してからも維持費がかかる車は敬遠されるようになりました。

都心部に住んでいれば車を持っていなくても、ほかの交通機関で簡単に移動できますし、最近ではカーシェアリングをはじめ、1台の車を数人で共有する方法も増えています。一方で車を必要とする地方では、過疎化が進んでいるのが現状です。車に興味を持つ若者や少子化による人口そのものの減少で、整備士を目指す人も減っていると考えられます。

高度成長期以降、車は一気に普及し、それとともに整備士の数も増加しました。年月を経て、その整備士たちがいずれ定年を迎え、退職します。そうなれば、自動車整備士の不足がまたたく間に加速することは、簡単に予想できるでしょう。

中小企業の整備工場が多い

整備士は労働環境が悪く、給料も少ないというイメージがありますが、こうした原因は整備工場自体にもあります。

整備工場の約7割は従業員の数が10人以下の企業です。少数精鋭で経営しているところが多くあるでしょう。小さな工場では資金に余裕がありません。整備士の数を増やしたり、給料を上げたりすると、経営に行き詰ってしまいます。そのため従業員を数多く雇えず、給料も容易に上げられません。当然、1人の整備士にかかる負担も大きくなります。このように、中小の工場で待遇が向上しないことも不足の一因のようです。

自動車整備士が不足しているからこそ、就業のチャンス!

逆に自動車整備士が不足しているからこそ、整備士にとっては就業や転職のチャンスといえます。

整備士不足への対策は?

慢性的な人手不足だからこそ、就職先や転職先を見つけやすいこともあります
もしかしたら、今あなたがイメージするよりも良い待遇や環境で働けるかもしれません。
常に一定数の求人が出ている状態でもあるからです。

ただし、自動車業界の中で比較的待遇が良くて給料も高いとされるカーディーラーや大手の整備工場で働くとなれば、それなりの資格やスキルを求められます。

たとえば、資格なら自動車整備士1級や、整備主任者、自動車検査員です。スキルではハイブリット車に詳しく、安全装置の知識も豊富であれば重宝されるでしょう。大がかりな故障を修理した経験があると、より優遇される可能性があります。

特にメーカーの認定整備士になるくらいの実績があるなら、それを看板にして自ら整備工場を立ち上げ、独立も可能でしょう。経営が軌道に乗れば、雇われるよりも収入は増えますし、定年もなくずっと働けます。

また、1から就職するのであれば、自動車の専門学校は卒業しておきましょう。在学中に2級以上の自動車整備士の資格を取得すれば、待遇の良い整備工場へ就職できるチャンスが広がります

しかし、資格を取得するには必ずしも専門学校を卒業する必要はありません。会社によっては整備士の資格がなくとも就職できる会社があります。整備士資格の取得に向けた援助を行っている会社が多く、働きながら資格取得を目指すことも可能です。

転職への近道をするなら

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まとめ

自動車整備士は労働環境が良くないところもあり、待遇も低い傾向にあるため、若者のなり手が少なく、慢性的な人手不足に陥っています。逆にいえば就業や転職のチャンスです。評価の高い資格やスキルを身につけて、労働環境や待遇の良いところへの就業や転職を目指しましょう。