【業界の基礎知識】自動車整備士と車体整備士の違い

自動車業界で働くときにあると有利になるのが整備士の資格です。しかし、一口に整備士といっても自動車整備士だったり車体整備士だったりと種類がいくつもあります。そこで今回は、それぞれの整備士の違いについて詳しくご紹介していきます。

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「自動車整備士」と「車体整備士」の違い

国家資格である自動車整備士と車体整備士。同じような資格のように感じますが、実は自動車整備の中で扱う範囲は大きく異なっています。まずは、仕事内容にどんな違いがあるのか見ていきましょう。

仕事内容の違い

・自動車整備士
自動車のエンジンや足回り、電気系などの点検・整備を専門的な知識と技術の基づいて行うのが自動車整備士の仕事です。

定期的に点検をして走行の安全性を確保することや、故障箇所を見つけて車の機能や性能を元の状態に戻すというのが、自動車整備士の仕事になります。

・車体整備士
自動車の車枠や車体の点検や整備を行ったり、損傷を修理したりするのが車体整備士の仕事です。

事故などで損傷した箇所は、ゆがみを修理したり交換したりして、新車同様の状態までに復元させます。また、見た目だけでなく車の安全性能も回復させるのが車体整備士です。

資格の違い

●自動車整備士
自動車整備士には、一級・二級・三級とクラスがあり、それぞれのクラスでさらにいくつかの種類に分かれています。

それぞれのランクに含まれる整備士の種類は以下の通りです。

一級自動車整備士
・一級小型自動車整備士
・一級大型自動車整備士※
・一級二輪自動車整備士※
※一級大型自動車整備士と一級二輪自動車整備士の国家試験は現在行われていません。

二級自動車整備士
・二級ガソリン自動車整備士
・二級ジーゼル自動車整備士
・二級自動車シャシ整備士
・二級二輪自動車整備士

三級自動車整備士
・三級自動車シャシ整備士
・三級自動車ガソリン・エンジン整備士
・三級自動車ジーゼル・エンジン整備士
・三級二輪自動車整備士

自動車整備系の専門学校で整備士課程を修了していない場合は、それぞれの受験資格を得るために実務経験を積む必要があります。

三級自動車整備士の受験資格を得るためには実務経験が1年以上、二級自動車整備士の受験資格を得るためには、三級取得後に実務経験を3年以上が必要です。

自動車整備系の専門学校で二級整備士課程を修了した場合は、卒業と同時に二級自動車整備士の受験資格を得られます。

●車体整備士
自動車整備士の資格の中に特殊整備士という資格があります。車体整備士は、この特殊整備士資格のひとつです。他の特殊整備士の資格には、タイヤ整備士、電気装置整備士があります。

車体整備士は、自動車整備士のように一級、二級、三級とクラスは分かれていません。自動車整備系の専門学校で整備士課程を修了していない場合は、実務経験が2年以上必要です。

自動車整備系の専門学校で特殊整備士課程を修了している場合は、卒業と同時に車体整備士の受験資格を得られます。

就職先の違い

自動車整備士はエンジンを含む自動車全般の点検・整備が主な業務になり、車体整備士はボディやフレームの点検・整備が主な業務になります。

そのため、自動車整備士と車体整備士には仕事でも多少の違いがあるので、それぞれの資格を活かせる就職先は若干変わってきます。

自動車整備士であれば、ディーラーや整備工場、中古車販売店が主な就職先になりますし、車体整備士の場合は、整備工場や損害保険会社が主な就職先になるでしょう。

適性の違い

自動車整備士、車体整備士に適正がある人とは、自動車や機械が好きな人であることが大前提です。そして、車の構造や仕組みについて理解することが必要になるため、勉強熱心で探求心を持っていることも求められます。

自動車整備士と車体整備士には適正も多少違いますので、それぞれの適性をご紹介していきます。

・自動車整備士
故障箇所を修理する仕事は地道な作業ですので、忍耐力や体力がある人が求められます。また、故障箇所を探し出す観察力や細部の修理を行うための手先の器用さも必要です。

 

・車体整備士
板金や塗装の技術を身につけるためには長い時間がかかるので、自動車整備士と同じように忍耐力や体力が求められます。また、カスタマイズでカラーリングやデザインを依頼されることもあるので、デザインセンスを磨いておくことも大切です。

「自動車整備士」と「車体整備士」資格を取得するには

自動車整備士と車体整備士の国家試験は、条件を満たしていないと受験することすらできません。ここでは、受験資格を満たして、それぞれの資格を取得するまでの流れについて紹介していきます。

自動車整備士資格を取得するには

・三級自動車整備士
自動車整備系の専門学校に通わずに自動車整備士になろうとする場合、まず三級自動車整備士の資格取得を目指します。

ただし、受験するためには、認証工場や指定工場に認定された整備工場で1年間の経験を積んでいなければいけません。

大学、専門学校、高校などで機械工学科を卒業した人の場合は、実務経験が6ヵ月間で三級の受験資格を満たすことが可能です。

自動車整備系の高校、専門学校を卒業した人の場合は、卒業と同時に三級自動車整備士の受験資格を得ることができます。

・二級自動車整備士
三級自動車整備士の資格を取得したのちに、整備工場で3年の実務経験を積むと、二級自動車整備士の受験資格を満たすことができます。

大学、専門学校などで機械工学科を卒業した人の場合、三級自動車整備士の資格取得後、必要となる実務経験の期間は1年6ヵ月以上です。

自動車整備系の専門学校、認定大学を卒業した人の場合は、卒業と同時に二級自動車整備士の受験資格を得ることができます。

・一級自動車整備士
二級自動車整備士の資格を取得したのち、整備工場で3年の実務経験を積むと、一級自動車整備士の受験資格を満たすことができます。

自動車整備系の専門学校、認定大学で一級整備士課程を修了した人の場合は、卒業と同時に一級自動車整備士の受験資格を得ることが可能です。

自動車車体整備士資格を取得するには

自動車整備士と車体整備士のどちらになるか決めかねている場合、就職に有利なほうを選びたいという人もいることでしょう。どちらが就職に有利なのでしょうか?

どちらが有利と一概にはいえないが…

自動車整備士と車体整備士では仕事内容が違うので、どちらが就職に有利とは一概にはいえません。なので、自分の興味や目指す方向性でどちらの資格を取得するか選ぶと良いでしょう。

板金・塗装に興味は無いが、車を触る仕事がしたいなら自動車整備士、板金や車体のオリジナル塗装などに興味があれば車体整備士というように選ぶことができます。

両方取得する選択肢もあり

どちらにするか悩んでいるのであれば、両方取得するということを視野に入れて良いかもしれません。

自動車整備士養成学校のカリキュラムでは、自動車車体整備士の単体の資格取得コースがあります。とはいえ、自動車整備士資格を取得後、さらに車体整備士養成課程を用意している学校がいくつもあります。

自動車整備士資格とともに車体整備士資格を得ることで、車の総合的なメンテナンス技術を習得していることを証明できるので、就職に有利になることには間違いありません。

どちらも資格を持っていないが就職できるのか

自動車整備士も車体整備士の資格どちらも持っていないという場合でも、整備士として就職できるのか、詳しく解説します。

実は自動車業界は未経験・資格なしでも就職可能

実務経験を積んだ後、受験資格が得られることからも分かるように、自動車業界は資格が無くても就職はできます。

もちろん、就職した後に三級自動車整備士資格や車体整備士資格を取得することを目指していきますが、最初は未経験・資格なしでもOKです。

自動車整備士・車体整備士の仕事を探すには

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まとめ

自動車整備士と車体整備士、どちらも車に関わる仕事ですが、仕事内容や資格、適正などが異なります。自分にはどちらが向いているかを考えた上で、目指す方向を決めると良いでしょう。場合によっては、両方の資格取得を目指しても良いかもしれません。資格がなくても自動車業界への就職は可能ではありますが、資格を取得しておくことで就職を有利に進めていくことができるでしょう。