目次
メーカー別平均残業時間
同じ自動車関連企業でも、メーカーによって残業時間に違いがあります。ここでは、大手自動車メーカーの月の残業時間について紹介します。また、残業だけではなく、休日出勤や年休の取得はどうなっているか、あわせて見ていきます。
トヨタ自動車
トヨタ自動車の月の残業時間は「18.7時間程度」です。
労務管理を徹底して行い、無制限に残業ができない仕組みとなっています。年間360時間以内(月30時間)以内に抑えるように決められています。
月間45時間、年間360時間を超える残業を行う場合には、会社へ申請が必要です。従業員の労働量などがあらかじめ把握されているからこそ、徹底した管理が行えるのでしょう。
勤怠管理のために、自己記入による出勤・退勤時間の申告だけではなく、会社の出入り口(正門)で「従業員証」でも確認を行っています。誤差が出ると、すぐに管理者に伝わる仕組みです。
上述のとおり、業界トップのメーカーだけに、働く環境も高水準ですが、時間外労働を行わないために、時間内で業務を終えるだけの能力が求められます。
また、時間外労働を行った場合、残業代や休日出勤には割増賃金は当然ながら、一方では、年休取得も積極的に取りやすい環境です。
日産自動車
日産自動車の月の残業時間は「19.6時間程度」です。
有給申請もしやすく「土日出勤をしたことがない」という社員もいるようです。日産自動車では「働き方改革プログラム」を推進しており、ワークライフバランスも取れている印象です。
しかし、部署によっては平均以上に残業が長くなる場合もあります。また、ディーラーなどの土日祝に来客対応が必要な「営業職」などは、土日祝の出勤が必要になります。
年休の取得に関しては、達成目標が定められており、事前に申請すればほぼ確実に取得が可能なようです。体調不良などで、当日休暇を取ることも問題ありません。
また、産休・育休制度も充実しており、休暇取得後も復職する人が多く、育児手当なども支給されています。
本田技研工場
本田技研工場の月の残業時間は「20.8時間程度」です。
本田技研工場でも月30時間、年間360時間以内の残業時間が徹底されています。時期や部署によっては休日出勤が発生することもありますが、繁忙期やトラブル対応などの事情がある場合に限られています。
週に1度程度ノー残業デーが設けられているなど、積極的に残業を減らす取り組みが行われているのも特徴です。年休の取得などもしやすい環境のようです。
年休は、労働組合と会社側で「有給カットゼロ運動」が行われ、取得努力を行っており、申請を行えば問題なく取得できています。
デンソー
デンソーの月の残業時間は「23.4時間程度」です。
部門によって残業時間に違いはありますが、業務調整など、負担軽減のために相談ができる環境も整っている企業です。
技術職に残業が多い印象ですが、働き方改革に合わせ、月の残業時間を30時間に留める努力を行っています。
最大手と比較すると、やや残業時間は長めの印象ですが、規制内の時間で収まっています。自動車業界全体を通じて、部署によって残業時間の差が大きいのは、デンソーにおいても同様です。
川崎重工業
川崎重工業の月の残業時間は「34.6時間程度」です。
川崎重工業でも、残業時間は部門によって異なり、繁忙期には休日出勤が発生することもあります。しかし、休日出勤した分の振替休暇を1カ月以内に取得できる制度があります。
残業がある月もありますが、夏季などは有給申請を活用することで、長期の夏季休暇を取れるのも特徴です。
上述のとおり、自動車業界は全体を通して、残業時間を短く抑える努力が行われています。最大手と比較したとき、やや残業時間が長い企業でも、土日祝の出勤がないなど休日は確保されている印象です。
また、サービス業と比較すると自動車業界の企業では、残業時間は短くなっています。残業時間短縮のために、勤怠管理を徹底し、サービス残業をさせない努力をしている点も有効なようです。
(参照:株式会社グローバルウェイ・プレスリリースより
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000081.000018764.html)
(参照:キャリコネ :https://careerconnection.jp/)
働き方改革により残業に規制
働き方改革により、残業時間に上限が設けられました。規制が行われるまでは、残業時間に制限がなかったため長時間労働が常態化し体調を崩すなど、社会問題となっていました。
国の規制では、原則として残業時間は「月45時間、年360時間(1日あたり2時間程度)」と定められています。しかし、職種によっては繁忙期を伴う場合もあるため「年間6カ月まで」は超えることが許可されています。
上限を超える場合でも「月平均80時間以内(1日あたり4時間程度)」までとされ、事情により長くなってしまった場合でも「100時間」を超える残業は、認められていません。また、年間で厳守しなければならない上限時間は「720時間」となります。
この規制に違反した企業には、罰則として6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課されるおそれがあります。
このような背景から、長時間労働を課しているだけでも、企業イメージを悪くしてしまう可能性が高くなります。
そのため、多くの企業では、業務内容の見直しやフレックスタイム制を導入するなど、残業時間を減らす努力が行われています。
(参照:厚生労働省・時間外労働の上限規制
https://www.mhlw.go.jp/hatarakikata/overtime.html)
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まとめ
自動車業界は、労働組合の持つ力も強く、残業を減らすための企業努力が積極的に行われています。働きやすい環境づくりによって、「離職率が低く抑えられている」ということも考えられます。
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