板金塗装の資格とは。取得はどうすればいいのか。

車体にできた傷や凹みを修復するのが板金塗装の仕事です。さまざまな技術を駆使して、最初から傷や凹みが無かったかのように仕上げます。これから板金塗装の仕事に就く上で、どのような資格や資質が必要なのでしょうか。今回は板金塗装になるための資格や資質について紹介していきます。

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板金塗装に資格は必要か

まずは板金塗装の仕事をするために必要な資格を紹介します。

資格は無くてもできる

実際のところ、板金塗装の仕事をするために、取得しなければいけない資格はありません。未経験でも板金塗装の仕事に就くのは可能です。

必要な資格はありませんが、技術を習得するには時間がかかります。 最初は洗車などの雑務をこなしながら車体の形状や構造を体で覚え、その後は先輩職人の手伝いをしながら、業務の幅を広げていかなければいけません。

求められる対応は車ごとに異なり、すべてをマニュアル化するのは困難です。あくまでも技術を盗みながら実践で覚えていくしかありません。10年程度働いて、ようやく1人で一通りの板金塗装ができるようになるといわれています。

ただし、車を扱う仕事である以上、多くの企業では普通自動車免許を保有しているのが採用の条件になるでしょう。

資格は就職に有利

このように、板金塗装の仕事は資格よりも実務経験のほうが重視されますが、持っていると有利だったり、信頼性が高まったりする資格があります。

例えば、自動車車体整備士や自動車整備士、金属塗装技能士、ガス溶接技能者、アーク溶接作業者、有機溶剤作業主任者、乙種第4類危険物取扱者などです。

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板金塗装に有利な資格

では、板金塗装の仕事をする上で、取得していると有利な資格をそれぞれ紹介します。

自動車車体整備士【国家資格】

自動車車体整備士は、自動車の車体に関連する知識や技能を持っていることを証明する資格です。自動車整備士の中でも「特殊整備士」という位置づけになります。

自動車整備系の専門学校に通って、「特殊整備士課程」を修了していれば、卒業と同時に受験が可能です。単に自動車整備系の専門学校を卒業して、2級以上の自動車整備士課程を修了しているなら、1年以上の実務経験が必要になります。自動車整備系の専門学校に通っていなければ、2年以上の実務経験がないと受験できません。

先述のとおり、絶対に必要な資格ではありませんが、取得していると実力を分かりやすく証明しやすいのがメリットです。

自動車整備士【国家資格】

自動車整備士は、自動車全般の点検や整備、組み立てができることを証明する資格です。1級から3級まであり、さらにガソリン自動車やディーゼル自動車、シャシなどに細分化されます。分解整備をするためにも2級以上は取得しておきたいところです。

受験資格は自動車整備系の専門学校を卒業していると、2級から受験できます。そうでなければ3級から受験しますが、地方運輸支局長の認証工場や指定工場で1年以上の実務経験がなければいけません。2級を受験するには、3級に合格した後、さらに3年の実務経験が必要です。

1級は2級に合格してから3年の実務経験を積むと受験できます(2級シャシ整備士を除く)。

こちらも必要な資格ではありませんが、認証工場や指定工場は一定数の整備士が在籍していなければいけないので、取得していると就職に有利でしょう。

金属塗装技能士【国家資格】

塗装技能士の資格は、木工・建設・金属・鋼橋・噴霧の5種類があり、自動車と関わりがあるのは金属塗装技能士です。取得すると塗装スキルの証明になります。

1級から3級まであり、3級は誰でも受験できますが、2級は3級に合格しているか、2年以上の実務経験が必要です。ただし、工学系の専門学校や大学などを卒業・修了していると、2級から受験できます。

1級は、2級から受験するなら2年、3級から受験するなら4年、ゼロから受験するのであれば7年の実務経験が必要です。こちらも学歴によっては実務経験の年数が短縮されますが、まったく実務経験がない状態で受験することはできません。

ガス溶接技能者、アーク溶接作業者

自動車の板金塗装では、溶接や溶断、加熱を行う作業があり、ガスの炎を使うガス溶接と、火花を使うアーク溶接の2種類があります。

ガス溶接技能者とアーク溶接作業者は、その技術を保有している証明になる資格です。講習を受けて、修了試験に合格すると取得できます。18歳以上であれば誰でも受講可能で、比較的簡単に取得できるでしょう。

有機溶剤作業主任者

塗装などで有機溶剤を使うには、労働安全衛生法により、有機溶剤作業主任者を選任しなければいけません。こちらも、ガス溶接技能者やアーク溶接作業者と同じく、講習を受けて修了試験に合格すると取得できます。18歳未満は有機溶剤を扱う業務に携われないため、18歳以上でないと受講できません。

危険物取扱者(乙種第4類)【国家資格】

危険物取扱者は、危険物の取り扱いや定期点検、保安の監督ができる資格です。甲・乙・丙の3種類があり、さらに乙は6種類に分かれます。このうち第4類は、ガソリンや軽油、重油など自動車と関連のある危険物を取り扱える資格です。試験は誰でも受けられ、筆記のみで実技はありません。

カラーコーディネーター

自動車の塗装では、微妙な色の違いを見抜いて塗料を調合しなければいけません。その際にカラーコーディネーターの資格があると、色の知識が身につき、感覚が養われるので、塗装業務において役に立つでしょう。

カラーコーディネーターに関連する資格は、カラーコーディネーター検定や色彩検定など数種類あり、1~3級まであるのが一般的ですが、どの級からも受験できます。

板金塗装に必要な資質

続いて、板金塗装の仕事に向いているタイプを紹介します。

車が好き

車に触れる仕事ですから、やはり車が好きであることは重要です。単に好きなだけでなく、好奇心や探求心があるとなお良いでしょう。また、さまざまな車を扱うため、車なら何でも興味を持つ姿勢が大事です。

職人タイプ

板金塗装で1人前になるには、多くの車と向き合って実務を経験しなければいけません。技術はすぐ身につくものではなく、経験の積み重ねで培われます。こうした地道な作業を途中で投げ出さず、コツコツと続けられる人が良いでしょう。いわゆる職人タイプです。

また、先輩たちの働きぶりを見て、自ら試行錯誤しながら技術を身につける積極性も求められます。

忍耐力と体力

慣れないうちは、なかなか問題を解決できず、投げ出したくなる場面もたくさんあります。それはベテランでも同じです。そんなときでも作業を続けられる忍耐力は欠かせません。また、車のパーツや板金塗装に使う機材は重いものが多く、力仕事であるため、体力があると良いでしょう。

手先が器用

板金塗装では、細かい作業も数多くあります。ビスのように小さい部品を扱う機会も少なくありません。手先が器用であれば、難なくこなせるはずです。

センス

お客様の期待以上に車を仕上げるには、美的感覚やバランス感覚などのセンスが必要です。特にお客様の要望で車体の色やデザインを変えて満足させるのは、大変ですがやりがいはあるでしょう。

板金塗装で就職するには

最後に板金塗装で就職する方法を紹介します。

未経験でも就職可能

板金塗装は資格が無くても応募できますが、「未経験可」としているところなら、採用されやすいでしょう。先述のとおり、普通自動車免許があると有利です。

主な就職先としては、整備工場のほかにディーラーや中古車販売店などがあります。気になるところがあれば、応募してみると良いでしょう。

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まとめ

板金塗装の仕事は、特に資格がなくても就職できますが、普通自動車免許を保有していたり、自動車車体整備士や自動車整備士などの資格を取得していたりすると有利です。むしろ、就職してから一人前になるまで数多くの実務経験と技術の習得が必要になります。