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整備士なら、独立開業も夢じゃない!
まずは独立・開業するまでの流れや注意点です。
整備士なら独立・開業もできる
整備士の仕事は、車を運転する人がいる限り、需要が無くなる心配はありません。その点では安定している仕事といえます。特に車が好きな人にとっては、毎日仕事で触れられるので、天職ともいえるでしょう。
一方で、整備士の収入はほかの職種に比べて、それほど高くありません。相場は300万円台後半から400万円台前半で、規模が小さかったり個人経営だったりすると少ない傾向があります。また、ほとんどの整備工場で暦どおりに休むのは難しく、残業も少なくありません。このことから勤務先の整備工場によって給料が変動してしまうことがわかります。
その点、独立・開業すれば自分の裁量で仕事を進められます。頑張り次第で年収1,000万円も夢ではありません。整備の業務を従業員に任せて経営に専念できれば、暦どおりに休むのも可能です。経営が軌道に乗れば定年退職を迎える年齢になっても、現役でいられるでしょう。
整備士が独立する際の注意点
単なる整備工場であれば、誰でも独立開業することができます。自宅のガレージを作業場にして、経営するのも不可能ではありません。ただし、車を分解できないので、引き受けられる作業が限られてしまいます。例えば、エンジンの脱着やブレーキ周りの部品交換などができません。
業務として車を分解するには、国土交通省地方運輸局長(沖縄は総合事務局長)の認証が必要です。認証を受けると、それを証明する標章を掲示できるようになります。
普通自動車、小型自動車、軽自動車の3種類があり、普通自動車と小型自動車の認証を受ければ、ほぼ全ての車を分解できるようになります(軽自動車は小型自動車にも含まれます)。
ただし、認証されるには国土交通省が定めた基準を満たさなければいけません。例えば、従業員は最低でも2人は必要で、うち1人は整備主任者で、もう1人は分解整備ができる整備士です。
整備主任者は経営者の任命でなれますが、1級か2級の自動車整備士の資格を保有していなければいけません。それ以外では年に1回、自動車整備主任者研修を受ける義務があります。また分解整備を行うには、やはり2級以上の自動車整備士の資格が必要です。
自動車整備士の資格は1級から3級まであり、3級は1年以上の実務経験があれば誰でも試験を受けられます。2級は3級に合格して3年以上の実務経験があるか、自動車関連の専門学校(2級自動車整備士課程)を卒業していなければいけません。
1級は2級に合格して3年以上の実務経験があるか、自動車関連の専門学校(1級自動車整備士過程)を卒業していれば試験を受けられます。
もし、独立・開業にあたって経営と整備士の仕事を兼ねるのであれば、2級以上の自動車整備士の資格は保有しておきたいところです。自らが整備主任者になっても問題はありません。
認証される条件には工場も含まれています。整備する車の大きさによって、間口や奥行、面積が決まっており、小型の普通自動車以下に限定しても、最低で100㎡以上の敷地が必要です。その中で車両を整備したり、部品を整備したり、点検したり、車両を保管したりする場所の広さも厳密に決められています。
さらに、作業や点検に使う機器や計器、工具類は30種類近く揃えなければいけません。例えばジャッキやプレス機、エアーコンプレッサーなどが該当します。
すべての条件を満たして独立・開業するには、数千万円から億単位の初期費用がかかるでしょう。経営が軌道に乗るまでは従業員の給与も確保しなければいけません。
資金が貯まるのを待つのは時間がかかるので、金融機関から融資を受けるのが一般的です。とはいっても、何の実績もない状態で銀行から融資を受けるのは難しいでしょう。
日本政策金融公庫では、独立開業を目指している経営者に対して、最大で7,200万円(設備資金が2,400万円、運転資金が4,800万円)まで融資しています。返済期間は設備資金が20年、運転資金が7年です。保証人は必要ですが、金利は最大でも年2.45%(令和2年1月現在)と低く設定されています。
もちろん、融資にあたっては担当者を納得させるだけの事業計画や返済計画を練らなければいけません。あらかじめ経理の知識を身につけておいたほうが有利でしょう。いざ独立開業した後も、自分で経理を担当すれば、少ない従業員数でやり繰りできます。
経営を軌道に乗せるには、客数を増やすのが一番です。ときには自ら営業に乗り出さなければいけません。独立開業するまでに自動車業界内での人脈を築いておくと、いざというときに援助してもらえたり、協力し合えたりするでしょう。
整備士が独立するメリット・デメリット
では、整備士が独立すると、雇用されて働くのと比べて、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
整備士が独立するメリット
独立すると、自分の意志や判断で仕事を進められます。指示を受けて仕事をするよりも、やりがいを感じる人も多いのではないでしょうか。やり方次第で事業規模や利益は拡大し、その中からどれくらい自分の取り分にするか決めるのも自由です。雇用されて働くよりも年収は大きく増える可能性があります。
整備士が独立するデメリット
先述のとおり、整備士が独立するには高額な初期費用がかかります。開業にこぎつけても収入が無ければ長続きしません。収入があっても資金繰りに失敗するケースさえあります。
また、独立したばかりのころは人件費を節約するために、経営者が複数の業務を兼務しなければいけないでしょう。雇用されていたころより、休みが少なくなったり残業が増えたりするかもしれません。
整備士の仕事自体は需要がありますが、独立して新たな顧客を獲得するのは大変です。経営が軌道に乗るまでは時間がかかるので、長期的な計画を立てて倒産を防がなければいけません。
独立はしてみたものの、雇用されていたほうが楽だったということにならないよう気をつけましょう。
独立に自信がない人は転職してスキルを身につけるのも選択肢
独立するには資金も無いし、不安もあるけど、年収を増やしたい場合は転職という方法があります。
スキル習得を目的とした転職
整備士の給与は会社によってまちまちですから、転職によって収入が上がる可能性があります。特に今より高度なスキルを要求されるところなら期待できます。あるいは、整備士のキャリアを生かして、セールスエンジニアや営業、損害保険のアジャスターなど高収入を見込める職種へ転職することも可能です。
いつか独立を目指すのであれば、面接時にアピールすると経営のノウハウを教えてくれるところに出会えるかもしれません。
転職する際の注意点
転職するときは、まず自分がどのように働きたいのか考えましょう。その上で求人情報の中から条件を満たしてくれるところを絞り込みます。余裕を持って転職先を選ぶためにも、退職する前に転職先を見つけておくのがおすすめです。
転職にあたってはスキルを身につけておいたり、自動車検査員など自動車整備士の上位資格を取得したりしておくと選択肢が広がります。
整備士の転職を考えているならクルマヤドットネット
整備士の求人は自動車業界専門の転職サイトに登録することで豊富な求人を確認することができます。クルマヤドットネットなら、専門のキャリアコンサルタントがあなたに沿った就職先を提案します。ぜひ一度相談してみてください。また、クルマヤドットネットは自動車業界に特化しているため、他の媒体にない求人情報も多く存在します。
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まとめ
整備士として独立するなら、認証工場として開業したほうが多くの仕事を引き受けられます。国から認証されるには整備士の数や工場の広さ、設備の条件を満たさなければいけません。そのためには高額な資金が必要です。収入を増やしたいだけなら、転職も考えてみましょう。