自動車整備士と工具 人気の工具は?(クルマヤドットネット独自調査)

自動車整備士にとって工具は仕事の質を左右する重要な存在です。エンジン、ブレーキ、電気系統など多岐にわたる部品を扱うため、スパナやレンチなどの基本工具から、診断機や電動工具といった最新機器まで幅広い種類の工具を使用します。高品質な工具は作業の効率を高め、精度を向上させるだけでなく、安全性の確保にもつながります。特に、近年の自動車は電子制御化が進み、専用の診断機や特殊工具が不可欠になっています。整備士は適切な工具を選び、メンテナンスを行いながら、常に最新の技術に対応する知識を身につけることが求められます。

この記事は約10分で読み終わります。

工具を見ているだけで「かっこいい!」と感じる方は多いのではないでしょうか?
自動車整備士が日々使っている工具は、ドライバーの安全と快適なカーライフそして自動車整備士の高品質な整備には不可欠なものです。
国産・輸入合わせてかなり多くのメーカーが存在していますが、今回はクルマヤドットネットの独自調査による自動車整備士と工具の関係をお知らせします。

1.工具の種類と用途

自動車整備士が使用する工具は、大きく分けて以下の種類があります。

  1. 基本工具(スパナ・レンチ・ドライバー等
    ボルトやナットを締めたり緩めたりするための基本的な工具です
    自動車整備士ではない方も家庭用の工具として持っていることも多い基本的な工具ですが、材質・耐久性・品質によってドライバー一つとっても100円ショップで買えるものから、プロの整備士が使う一本何千円もするようなものまで様々なものがあります
  2. 電動・空圧工具(インパクトレンチ・エアラチェット等)
    電動・空圧どちらも利点があるので、用途に応じて使い分けている方が多いようです
     ★電動工具→手軽さ&静音性重視
     ★エアツール→パワー・連続使用
    【電動工具】
     ■メリット
      ・電源(コンセントやバッテリー)があればすぐに使用可能
      ・持ち運びがしやすく、屋外や電源がない場所でも使える(バッテリー式の場合)
      ・エアツールに比べて作動音が静かで、環境に優しい
      ・圧力調整が不要で、初心者でも扱いやすい
      ・バッテリー式ならホースの取り回しが不要で、自由に動ける
     ■デメリット
      ・重い。バッテリーやモーターが内蔵されているため、長時間使用すると疲れやすい
      ・バッテリー式は特にパワーがエアツールに劣ることがある
      ・連続使用するとモーターが熱を持ち、パワーダウンすることがある
      ・ッテリー式は充電が必要で、長期間使用すると劣化する

    【空圧工具】エアツール
     ■メリット
      ・モーターが不要なため、電動工具よりも軽く、長時間の作業に向いている
      ・インパクトレンチやエアラチェットは電動工具よりも強力な締め付けが可能
      ・空気圧で駆動するため、熱を持ちにくく長時間作業に適している
      ・シンプルな構造なので、電動工具に比べて故障が少ない
     ■デメリット
      ・別途エアコンプレッサーが必要で、初期費用が高くなる
      ・エアホースが邪魔になることがあり、作業場所によっては動きにくい
      ・作動音が大きく、特にインパクトレンチなどは騒音対策が必要
      ・コンプレッサーが必要なため、移動しながらの作業には向いていない
      
  3. 測定工具(トルクレンチ、マイクロメーター、ダイヤルゲージなど)
    自動車の安全性と性能を維持するために、トルクや隙間の正確な測定は不可欠です。適切な測定工具を使用し、メーカー指定の数値に基づいた作業を行うことで、事故や故障を防ぎ、車の寿命を延ばすことができます
      ・締め付けの誤差 → ボルトの破損・脱落 → 重大事故   
      ・隙間の誤差 → 摩耗・異音・性能低下 → 故障リスク増大
  4. 特殊工具(オイルフィルターレンチ、プーラー、OBD診断機など
    特定の部品を扱うために設計された専用工具で、最近では電子制御系の診断機も必須となっています
      ・作業効率向上 → 一般工具では困難な作業をスムーズに実施  
      ・ 部品の損傷防止 → 適切な工具を使うことで、部品や車両にダメージを与えない
      ・電子制御の進化への対応 → OBD診断機など、最新の車両整備には欠かせない

現代の車は、メカニカルな部分だけでなく、電子制御システムが重要な役割を担っているため、これらの特殊工具を駆使することが整備士には必須となっています

2.工具の正しい使い方とメンテナンス

  1. 正しい工具の選定
    用途に合った工具を選ぶ
     スパナやレンチを使う際に、ボルトのサイズに合ったものを選ぶ必要があります
     サイズが合っていないと効率が悪くなり、工具や部品を壊す原因にもなります
    工具の品質を確認
      安価な工具はすぐに劣化したり、破損したりすることが有ります
      信頼できるブランドの工具を選ぶことが大切です
    持ち手の長さや形状:
      長さや形状は作業のしやすさに影響します
      例えば、手が届きにく部位で作業をする場合は、長い柄の工具が有効です
  2. 定期的な清掃と保管
     使用後の手入れは非常に重要です
    清掃
     工具を使用した後は、汚れや油分を拭き取ることが大切です
     特に、湿気や水分に触れた後は、錆びの原因となるため、すぐに乾燥させましょう
     金属製の工具は特に錆びやすいので、油分を軽く塗布しておくと、錆の予防になります
    保管場所の選定:
     工具は湿度が低く、温度差の少ない場所に保管しましょう
     湿気が多い場所では錆が進みやすいため、防錆袋やケースに入れましょう
  3. トルク管理の徹底
    トルクレンチの使用
     指定されたトルクで作業を行うことにより、部品が適切に固定されます
     過剰な力で締めると、ネジ山が潰れたり、部品が破損するリスクがあります
     逆に、締め付けが足りないと、部品が緩んでしまう可能性があります
    トルクのチェック:
     作業後に再度トルクレンチで確認し、適切に締まっているかを確かめます
     複数の締め付け作業を行う場合は、順番やトルクの調整を確認しながら作業を進める
     と、均等に力がかかり、部品の破損を防げます

3.最新技術と整備工具の進化

近年の自動車技術の進化に伴い、整備に必要な工具も変化しています
近年、自動車はますます複雑な電子制御システムを搭載するようになり、整備作業にも高度な技術が求められています。OBD-II(On-Board Diagnostics 2)スキャナーはその代表的なツールです

  1. 電子制御の進化とOBD-IIスキャナーの普及
    ECUとの連携
     現代の車両は、エンジン制御、トランスミッション、ブレーキシステムなどの主要な機
     能がECUによって管理されています。 OBD-IIスキャナーを使うことで、整備士はこれら
     のシステムと連携し、車両の状態をリアルタイムで診断できます

    故障診断とエラーメッセージ
     OBD-IIスキャナーは、車両内のエラーコードを読み取ることができ、故障箇所の特定を
     効率的に行います。無駄な部品交換を防ぎ、作業時間の短縮が可能になります

    機能の多様化
     現代のOBD-IIスキャナーは、単なるエラーチェックにとどまらず、車両のデータロギン
     グや、ソフトウェアのアップデート、さらにはカスタマイズ機能まで提供しています
  2. 電動工具の進化
    充電式インパクトレンチ
      これまでのコード付きインパクトレンチに比べて、コードレスのインパクトレンチは、
     移動の自由度が増し、作業スペースが広がります。
     また、モーターの進化により、強力なトルクを提供しつつ、軽量化も進んでおり、
     長時間の作業が楽になります。

    ラチェットレンチ
      コードレスのラチェットレンチも普及し、手動のものに比べて作業スピードが大幅に向
     上しています。特に狭い場所での作業や繰り返し作業が多い場合に、その利便性が発揮
     されます。

    バッテリー技術の進化:
     バッテリーの持ちが良くなり、充電時間も短縮されています
     作業中にバッテリー切れになるリスクが減少しています
  3. 3DプリンタやAIの活用
    3Dプリンタ
     特殊工具や部品を作成する際に3Dプリンタが活用されています
     これにより、既製品では手に入らない特殊な工具や部品を、必要に応じて迅速に作成
     することができます
     また、設計変更や部品のカスタマイズが容易になるため、柔軟な対応が可能です

    AIによる故障診断:
     AI(人工知能)を活用した故障診断システムが整備現場に導入されています
     AIは車両のデータを解析し、最適な修理手順や部品交換の提案を行います
     また、機械学習により、AIは時間とともに診断精度が向上し、従来の診断ツールよりも
     精度の高い結果を提供します
     

4.クルマヤドットネット独自調べによる
自動車整備士に人気の工具メーカー

位:Snap-on(スナップオン)

特徴:アメリカの高級工具メーカーで、耐久性と精度の高さがトップクラスと言われているメーカー
【人気の理由】
ラチェットレンチやソケットの精度が高く、耐久性が抜群
工具トラック(バンセール)による販売が整備士に人気
価格は高いが、一生モノの工具として愛用しているかたが多い
https://www.snapon.co.jp/

2位:KTC(京都機械工具)

特徴:日本国内で最も広く使われているプロ向け工具メーカー
人気の理由
日本の自動車整備工場での採用率が高いそうです。
コストパフォーマンスが良く、耐久性と精度のバランスが優れている
「ネプロス」シリーズはハイエンドユーザー向けの高品質モデル
https://ktc.jp/

3位:MAC TOOLS(マックツールズ)

特徴:アメリカ発の高級工具メーカーで、スナップオンと並ぶ品質の高さ
人気の理由】
ラチェットやインパクトレンチが高性能で、整備士の間で評価が高い
工具トラックによる販売があり、プロ向けのサポートが充実
デザイン性が高く、所有する満足感がある
https://mactools.jp/

4位:TONE(トネ)

特徴:日本の老舗工具メーカーで、耐久性とコストのバランスが良い
人気の理由
インパクトレンチ用ソケットやトルクレンチの評判が良い
日本国内の多くの整備工場で使用されており、信頼性が高い
比較的手頃な価格でプロ向け工具を提供
https://www.tonetool.co.jp/product/

5位:Ko-ken(コーケン)

特徴:ソケットレンチの精度が非常に高い、日本の専門メーカー。
人気の理由】「Z-EAL(ジール)」
シリーズはスナップオン並みの高品質
ソケット類の精度が抜群で、フィット感が良い
作りの良さと使いやすさで、整備士からの評価が高い
https://www.koken-tool.co.jp/

6位:VESSEL(ベッセル)

特徴:ドライバーを中心に、エアツールなども展開する日本のメーカー
人気の理由
ドライバーのグリップが握りやすく、整備士の手に馴染む
エアインパクトやエアラチェットも評価が高い
日本製で品質が安定しており、価格もリーズナブル
/https://www.vessel.co.jp/

7位:HAZET(ハゼット)

特徴:ドイツの老舗メーカーで、欧州車整備に強い
人気の理由
欧州車整備に適した特殊工具が豊富
ドイツ車ディーラーや輸入車専門店での使用率が高い
剛性が高く、耐久性に優れている
https://hazet-japan.com/

自動車整備士が自分に合った工具メーカーを選ぶ際には、いくつかのポイントを考慮することが重要と思われます。まず、作業内容に合った工具を選ぶことが大切ではないでしょうか?例えば、エンジンやトランスミッションの整備には高トルクが求められるため、信頼性の高いメーカーが適しているでしょう。また、耐久性と品質も重要な要素です。頻繁に使用する工具は長持ちするものを選ぶべきです。

予算を考慮した場合、手頃な価格で品質も良好な工具を提供するメーカーもたくさんあります。信頼性の高いメーカーの製品をセールで購入することも一つの手段です。さらに、他の整備士のレビューや評価を参考にすることで、実際の使用感を把握しやすくなります。保証やアフターサービスも確認しておくと、万が一の故障時に安心です。

実際に工具を手に取って試すことも効果的で、使い心地やグリップ感を確かめることができます。総じて、自分に合ったメーカーを選ぶためには、作業内容、耐久性、価格、レビューを総合的に判断することが大切です。

「持っているだけでモチベーションがUPする工具」に出会えると最高ですね!

【自動車整備士の求人】