目次
大型特殊免許とは?
世の中にはさまざまな運転免許証があります。ではその一つである大型特殊免許を持っていると、どういった車両を運転することができるのでしょうか?
この項では大型特殊免許の基本的な情報について紹介していきます。
大型特殊免許で運転できる車両
「大型特殊免許」とは、「大型特殊自動車」を公道で運転するための免許です。
大型特殊自動車とは、クレーン車、ブルドーザー、ロードローラーなど、工事用に使われる車両が多いですが、その他にも除雪車や農作業用のトラクター、田植え機なども含まれます。
大型特殊免許にも、普通免許と同じように、「第一種」と「第二種」があります。
「第二種」運転免許証とは、バスなどのように営利目的で人を乗せて運転したり、自動車を運んだりする際に必要な免許です。
しかし日本の大型特殊自動車には、旅客運送を目的とした車両はありません。そういった理由から、大型特殊免許に関しては「第一種」のみしか取得していない人が多いのです。
大型特殊免許を取得する方法は2つ
大型特殊免許を取得する方法は、大きくわけて2つあります。
・運転免許試験場で技能試験
まず一つめは、「運転免許試験場で技能試験を受ける」という方法です。
試験会場では、試験前に運転方法や操作方法を試験官に教えてもらうことができます。さらには事前にコース見学することも可能なので、今まで大型特殊自動車を運転したことがない人でも、ある程度は心の準備をしてから受けることができます。
しかし、初めての方が技能試験で一発合格できる確率は非常に低く、何回かチャレンジして運転の感覚をつかんでから、ようやく免許を取得するケースが多いです。
・自動車教習所で取得
もう一つは、「自動車教習所で取得する」という方法です。
一般車両と同じように指導教官に同伴してもらい、教習所内のコースを運転しながら大型特殊自動車の操作方法を学びます。
技能講習→技能卒業試験→適正検査と、段階を経て順に合格することで、最終的に免許を取得することができます。
・どちらが初心者向け?
これから初めて大型特殊免許を取得される方は、大型特殊自動車の基本的な運転と操作方法を丁寧に教えてもらえる自動車教習所がおすすめです。
補足として、既に普通自動車免許をお持ちの方は、運転免許試験場での学科試験が免除になることも覚えておきましょう。
取得条件
大型特殊免許の取得条件は、普通自動車免許と変わりありません。
・年齢 満18歳から取得可能
・視力 両眼0.7以上、片眼0.3以上あること
(片眼の視力が0.3に満たない場合は、他眼の視野が150度以上、視力が0.7以上あること)
・色彩識別 赤、青、黄の識別ができること
・聴力 10メートルの距離で、90デシベルの警報器の音が聞こえること
(補聴器により補われた聴力を含む)
・運動能力 自動車等の運転に支障を及ぼす恐れのある四肢又は体幹の障害がないこと。 または、補助手段を講ずることにより運転に支障を及ぼす恐れがないと認められること。
前述したように、既に普通自動車免許を持っている場合は学科が免除され、技能講習6時間のみとなり、教習時間が短くなります。普通自動車免許を持っていない場合は、学科22時間、技能講習12時間の教習を受けることとなります。
技能講習に路上研修はなく、教習所内のコースで技能卒業試験に合格したら免許を取得することができます。
取得にかかる期間は、早い方で4日程度です。仕事をしながら空いた時間に教習所に通ったとしても、1ヶ月以内には取得できるでしょう。ただし、教習所に通い始めてから3ヶ月以内にすべての教習を修了しなければならないので、期限を過ぎてしまわないよう計画的に教習所へ通うようにしましょう。
大型特殊免許にかかる費用は?
大型特殊免許の取得にかかる費用は、普通自動車免許を取得しているかどうかで変わります。免許の取得にかかるおおまかな費用と、給付金について詳しくご説明します。
おおまかな費用はどのくらい?
普通自動車免許を取得していない場合→約16~17万円
普通自動車免許を取得している場合は→約8~9万円
地域や教習所によって費用は異なりますので、それぞれの教習所にお問い合わせください。
大型特殊免許の取得には、条件によって「教育訓練給付金制度」を利用できる場合があります。
この制度は、再就職を目指す方を支援する制度で、「入学金と受講料」を合わせた20%(最大10万円)の給付金をもらうことができます。さらに、フォークリフトなどの作業資格教習も対象になる場合もあります。
教育訓練給付金制度の申請条件は、初回であれば雇用保険の加入が1年以上、2回目以降であれば3年以上で、在職中か離職から1年未満であることです。詳しい内容は、最寄りのハローワークでご確認ください。
会社都合で離職を余儀なくされた方が、教育訓練給付金制度を利用して大型特殊免許を取得し、無事に新しい仕事に就職できた例などもあります。給付金の条件に当てはまる方は、ぜひこの制度を就職活動に役立ててみてください。
大型特殊免許を活かせる仕事は?
晴れて大型特殊免許を取得することができれば、様々な運転の仕事に就くことができるようになります。
大型特殊免許を取得!現場で活躍する特殊自動車を紹介
■フォークリフト
フォークリフトは、多くの工場や倉庫内で荷物の積載に利用されています。需要の高い車両なので、免許を取得していれば就職先の選択肢が増えるようになります。
同じフォークリフトでも、車両の規格によって「小型特殊自動車」と「大型特殊自動車」に分かれます。大型特殊免許を取得すると、大型特殊自動車に分類されるフォークリフトを公道で運転できるようになるので、フォークリフトを現場まで移動する業務を請け負うことができます。ただし、フォークリフトに荷物を積んだまま公道を運転したり、公道で荷物の積載を行うことは違反になるので、その点は注意しておきましょう。
ちなみに、工場や倉庫などの構内でフォークリフトを使って作業を行う際は、別途資格を取得する必要があります。資格を取得するためには、各都道府県の労働局長に登録してある登録機関で、「フォークリフト運転技能講習」を数日間受講し、「技能講習終了証」の交付を受ける必要があります。
フォークリフト運転技能講習にかかる日数や費用に関しては、お持ちの運転免許証やフォークリフト(1トン未満)の業務経験の有無によって変わりますので、受講する機関にお問い合わせください。なお、フォークリフト運転技能講習は教育訓練給付制度の対象になる場合がありますので、ぜひそちらもご確認ください。
■農耕トラクター
農作業にかかせない農耕トラクターも、フォークリフトと同じく「小型特殊自動車」と「大型特殊自動車」分かれます。大型特殊自動車に分類される車両を公道で走らせるためには、大型特殊免許の取得が必要になります。しかし、農耕用の車両は、最高速度が35km未満の場合、大きさに関わらず小型特殊自動車として扱われます。
小型特殊自動車を運転するためには、小型特殊免許が必要ですが、普通自動車免許をお持ちの方は小型特殊自動車を運転することができますので、新たに小型特殊免を取得する必要はありません。
大型特殊免許には、「農耕車限定」の免許もあります。トラクターのみを運転する方は、農耕車限定で大型特殊免許を取得した方が費用も安く、短時間で免許を取得することができるので、覚えておきましょう。
■除雪車
冬の時期にかかせない除雪車ですが、「除雪グレーダー」「ロータリー除雪車」「除雪ドーサ」など、さまざまな種類があります。これらの運転には大型特殊免許はもちろん、「技能講習の終了が必須」「大型特殊自動車の運転経験が数年以上必要」など、除雪車ごとに別途必要な資格や条件などが定められています。
冬の時期にかかせない除雪車ですが、「除雪グレーダー」「ロータリー除雪車」「除雪ドーサ」など、さまざまな種類があります。これらの運転には大型特殊免許はもちろん、「技能講習の終了が必須」「大型特殊自動車の運転経験が数年以上必要」など、除雪車ごとに別途必要な資格や条件などが定められています。
豪雪地帯では、冬の時期になると夜が明ける前から除雪車が出動します。人々が動き出す前に道路の雪を除雪しなければ、交通マヒが起きてしまうからです。
そのため、除雪車の需要は高く、冬場仕事が少なくなる農家や建設業に関わる方の冬の仕事として非常に高い人気があります。需要も高い分、しっかりと稼ぐチャンスも豊富です。
なお、公道や私有地を問わず、除雪作業をするためには、一般社団法人日本建設機械施工協会(JCMA)が開催する「道路除雪講習」を受講する義務があります。毎年10月頃に開催されているので、JCMAの公式サイトを確認しましょう。
大型特殊免許を活かせる求人探し
大型取得免許を活かせる仕事を探す場合、多くの場合はハローワークやインターネットの求人サイトを利用すると思います。とはいえ、すべての業種・職種を対象とする一般的な求人メディアの場合、毎日膨大な求人案件が更新されているので、そこから大型特殊自動車の求人だけを見つけ出すというのは、人によっては困難な作業だと言えます。
しかし、車求人に特化した「クルマヤドットネット」であれば、各種資格などを限定した条件検索が行えるので、大型特殊自動車といった専門性の高い仕事も簡単に探し出すことができます。
さらに、クルマヤドットネットでは業界に詳しい専門のキャリアコンサルタントによるサポートもあります。初めての車業界でも、安心して就職活動を行うことができるでしょう。
まとめ
今よりもっと給料を上げたい、違う職種で働きたい、もっと環境の良い所で働きたいと思ったときがスキルアップのチャンスです。
大型特殊免許は、普通自動車免許を取得していれば、比較的簡単に取得することができる運転免許証です。給付金が利用できる制度もありますので、ぜひこの機会に大型特殊免許を取得して、仕事の幅を広げてみてはいかかでしょうか?